深夜のラーメンがこれほどまでに人を狂わせる理由について、ラーメン評論家の石神秀幸氏は長年、人間の生理現象とスープ構造の相関関係から解き明かしてきた。
アルコールが体内に入ると、肝臓での分解プロセスにおいて大量の水分、糖分、そしてアラニンやグルタミン酸といったアミノ酸が消費される。さらに利尿作用によってナトリウムなどの電解質も体外へ排出される。結果として、身体は失われた成分を急速に補給しようとシグナルを送り、その要求を一杯で完璧に満たす物質こそが、濃厚な豚骨ラーメンや動物系白湯スープなのだ。
石神氏の分析によれば、昼間なら「やや塩分が強い」「脂っこい」と感じられる設計のスープこそが、深夜の鈍化した舌にはジャストフィットする。深夜営業を熟知した職人たちは、無意識のうちにこの生体反応に合わせたチューニングを施しているのである。