松竹の公式発表および報道各社の取材データによると、二代目中村吉右衛門さんは2026年11月28日午後6時43分、心不全のため東京都内の病院で逝去されました。享年77。歌舞伎界のみならず日本文化界に計り知れない衝撃を与えた訃報でした。
異変が起きたのは、同年3月28日の夜のことでした。東京・銀座のホテルで妻の知佐さんと食事を終えた直後に突然倒れ、都内の病院へ救急搬送されたのです。直前まで歌舞伎座「三月大歌舞伎」に出演しており、3月24日に千秋楽を迎えたばかりの急転直下の事態でした。
公の場で見せた生涯最後の舞台となったのは、その「三月大歌舞伎」第2部で演じた『楼門五三桐(さんもんごさんのきり)』の真柴久吉役です。天下人・久吉としての威厳と気品に満ちた立ち姿は劇評でも「神気配漂う風格」と極めて高い評価を獲得しており、体調の急変を予感させる兆候は微塵も感じさせませんでした。
救急搬送後は心臓の治療を受け、一時は集中治療室(ICU)から一般病棟へ移るなど、関係者の間では奇跡的な舞台復帰への期待も寄せられていました。所属事務所や家族は本人の静かな療養環境を守るため病状の詳細を伏せて懸命に回復を祈り続けましたが、倒れてから約8カ月におよぶ闘病の末、静かに息を引き取りました。最期は長年連れ添った知佐夫人や愛娘たちに看取られる、穏やかな旅立ちだったと伝えられています。