水ぶくれのような外見から「針で刺して中の液体を出せば治るのではないか」と考えがちですが、ミューカスシストを自力で潰す行為は極めて危険です。表面の皮膚は非常に薄くなっており、不衛生な器具で破裂させると、傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入します。
ミューカスシストの袋は細い茎(連絡路)を通じて指の関節腔と直結しています。そのため、侵入した細菌が関節内に達すると化膿性関節炎を引き起こし、激しい疼痛や指の破壊を招きます。最悪の場合、感染が骨まで達する骨髄炎を併発し、長期の抗菌薬点滴投与や骨の掻爬(そうは)手術、関節固定術を余儀なくされる事態に発展しかねません。
また、ミューカスシストが自然治癒することは極めて稀です。仮に破れて一時的にしこりが縮小しても、関節液の供給源である関節包の亀裂や骨棘が残っている限り、数週間から数カ月でほぼ確実に液体が再貯留して再発を繰り返します。