言語としての認知が広がる一方で、社会インフラとしての課題も浮き彫りになっている。医療現場や司法、災害時の緊急記者会見などで不可欠となる専門職が手話通訳士だ。高度な倫理観と瞬時の言語変換スキルが求められる難関資格でありながら、その処遇や地域ごとの人材不足は依然として深刻な議論の対象となっている。
長年にわたり当事者の権利向上を訴え続けてきた一般財団法人全日本ろうあ連盟の活動や、厚生労働省による意思疎通支援事業の拡充、そしてNHK(日本放送協会)による手話ニュースの多角化など、公的領域での環境整備は着実に前進している。手話を情報アクセスの権利として法的に保障する「手話言語法」制定を求める声は、いまや福祉の枠組みを超えた基本的人権のテーマとして国会や地方自治体に広がっている。