画面の中では誰もが腹を抱えて笑う志村さんのコントだが、その制作過程は驚くほど静寂に満ちていた。志村さんはカメラが止まると物静かで、細部まで計算し尽くした間(ま)や動作をスタッフと入念に確認していた。その妥協なき姿勢に、坂上忍は若き日から強い影響を受けていたという。
「笑いは緻密な計算の上に成り立つもの」。志村さんが見せた背中は、坂上忍の現在のMCスタイルや後進の育成にも大きな指針となっている。ハンバーガーをかじるひとときに垣間見えたのは、照れ屋で孤独を愛しながらも、誰よりも情に厚いひとりの表現者の姿だった。