兼高かおるという人物を思い浮かべるとき、誰もがその抜群の気品と、流暢な英語、そして物怖じしない堂々とした態度を思い出すだろう。まだ日本人が自由に海外旅行に行けなかった時代に、彼女はなぜあそこまで毅然と世界と渡り合えたのか。その答えは、彼女の生まれ育った環境、すなわち血筋に深く根ざしている。
彼女の育ちの良さは単なる教育の賜物ではない。家系を遡ると、明治から大正にかけて日本の近代化を牽引した名家や、海外との接点を持つ先駆者たちの影がちらつく。彼女が漂わせていた独特の「無国籍なオーラ」は、まさにこのハイブリッドな家系が生み出した芸術品だったと言えるだろう。