全国的には1980年代末に姿を消した鯨給食だが、実は地域ごとの「格差」が非常に大きい。伝統的に沿岸捕鯨が盛んだった和歌山県太地町、長崎県、山口県下関市、千葉県南房総市といった地域では、1990年代から2000年代にかけても給食での鯨肉提供が完全に途絶えることはなかった。
これらの捕鯨拠点都市では、地元の伝統食文化や歴史を次世代へ継承する「食育」の一環として、年に数回から月1回ペースで鯨肉メニューが提供され続けてきた。都心部の学校では一切見なくなった時期でも、地方の港町では「懐かしの味」ではなく「現役の地元グルメ」として給食に根付き続けていたのである。