二人の関係性を語る上で避けて通れないのが、1985年8月28日、大阪城ホールで行われた「敗者髪切りデスマッチ」である。敗れた長与千種がリング上でバリカンをあてられ、髪を刈り落とされるシーンは、当時のテレビ中継を通じてお茶の間に凄まじい衝撃を与えた。
あの夜、日本中の少女たちがテレビの前で涙を流した。それは単に「憧れのスターが負けた」ことへの悲しみだけではない。理不尽な暴力や社会の抑圧に立ち向かい、そして敗れてなお毅然と立ち上がろうとする長与の姿に、自らの生きづらさを投影していたからだ。ダンプ松本という絶対的な悪役がいたからこそ、長与千種の輝きは永遠のものとなり、人々の心に深く刻まれることとなった。