だが、なんJにおける議論の大部分は、重々しい社会批評ばかりではない。むしろ圧倒的な割合を占めるのは、事件や関係者の言動をコンテンツとして面白おかしく消費する「ミーム化」の側面だ。「ヨットスクールにぶち込むぞ」「校長の顔写真コピペ」といった定型句が、日常の雑談スレッドでブラックジョークとして軽々に飛び交う。
この「歴史的惨劇のコンテンツ化」に対しては強い懸念も存在する。惨事の背景にある犠牲者や遺族の痛みが、ネット特有の匿名性とノリの中で消し去られてしまうからだ。笑いと嘲笑で覆い隠された暴力の歴史。デジタル空間で情報が拡散・希釈される過程で、事件の本質的な痛ましさが摩擦係数を失い、スリリングなエンタメへと変質していく現象は、現代のネットカルチャーが抱える大きな病理と言える。