昭和のロードサイド文化の再燃を語る上で欠かせないのが、映像配信サービス業界の影響力だ。過去の名作ドキュメンタリーやグルメドラマがNHKオンデマンドやTVerなどのプラットフォームを通じていつでも手軽に視聴できるようになり、リアルタイムの放送を知らないZ世代へと波及した。テレビを持たない若年層がスマートフォンで映像に触れ、SNSでそのロケーションを共有して現地へ足を運ぶという新たな行動様式が完全に定着している。
この潮流は、単なる懐古趣味にとどまらない強固な昭和レトロカルチャーのムーブメントを形成した。フィルムカメラや純喫茶を愛好する若者たちにとって、長年使い込まれて油が染み付いたテーブルや手書きの看板は、洗練されたカフェにはない「リアルなヴィンテージ」として映る。古い店舗が持つ無作為の美しさが、デジタルネイティブの感性を強烈に刺激しているのだ。