コメディアンとしてのイメージが定着していた彼に、役者人生最大の転機が訪れる。それが時代劇の歴史を塗り替えた『必殺仕事人』シリーズだ。彼が演じた中村主水は、職場や家庭では「昼行灯」と蔑まれ、姑や妻に頭が上がらない冴えない同心。しかし、夜になれば一転して冷徹な殺し屋へと変貌を遂げる。
この二面性こそが、高度経済成長期からバブル期へと向かう日本社会で働くサラリーマンたちの深い共感を集めた。従来の正義漢ヒーロー像を打ち破る「影のある暗殺者」という泥臭くもクールな生き様は、時代劇界の正真正銘の金字塔となった。