1980年代後半から1990年代初頭のバブル景気時代、歌舞伎町の熱気は狂気の域に達していた。不動産や株式投資で巨万の富を得た実業家たちが、一夜にして束になった現金をテーブルに積み上げる。1本数百万円の高級ヴィンテージワインや洋酒が次々と開けられ、店内の売上最高記録は毎夜のように更新された。
当時の証言によると、ある実業家の女性顧客は、お気に入りのホストの誕生日に現金で満たされたアタッシュケースを持参したという。また、売上の競い合いが過熱した結果、店内のボトルがすべて飲み干され、急遽近隣の酒屋から高級酒を買い占める事態も日常茶飯事だった。金に糸目をつけない富裕層の狂乱と、それを受け止めるホストたちのプライドが交錯した、まさに「札束が舞う伝説の時代」であった。