昭和・平成の時代に流行した「恋のABC」の本来の意味は、関係性の深まりを段階ごとにアルファベットで区切った明確な定義を持っていた。一般的に「A」はキス、「B」は胸や身体へのタッチ(ボディタッチ・ペッティング)、「C」は性交渉(インターコース)を指していた。当時の若者は、直接的な表現を避けるためのユーモアやテレを込めた婉曲表現として、このアルファベット順の段階論を共有していたのである。
当時の恋愛観においては、順番をひとつずつ階段のように登っていくプロセスそのものが重視されていた。急激なアプローチを「飛ばしすぎ」と呼んだり、ステップを踏むペースを互いに探り合ったりすることが、昭和から平成初期のコミュニケーションにおける一種の暗黙のルールとなっていた。