ネット上の掲示板やSNSでは、「親不孝だ」「兄弟で仲良くできないのか」といった批判的な声が散見されることがあります。しかし、ここには昭和的・伝統的な「家族観」に縛られた大きな誤解が存在します。
一般に知られていない盲点として、長嶋家のような巨大な名声と莫大な資産(有形無形のブランド価値を含む)を抱える特殊な家庭において、全員が仲良く均等に権利を分け合うことは極めて困難です。利権が集中する中心人物(茂雄氏)の周辺には、親族だけでなく多くのビジネス関係者や取り巻きが介在します。その中で下手に全員が権利を主張すれば、それこそ裁判沙汰による泥沼の資産争いに発展し、父親の晩年を汚すことになりかねません。
一茂氏が取った「完全に身を引く」「権利を主張しない」「連絡を断つ」という選択は、世間一般の情緒的な「家族仲良し神話」からは外れるものの、結果的にお家騒動をこれ以上拡大させず、早期に沈静化させた極めてスマートな危機管理対応であったといえます。