長年親しまれている名曲だからこそ、インターネット上ではいくつかの誤認や都市伝説が流通しています。事実に基づき整理しておきましょう。
第一に、「映画『勝手にしやがれ』のストーリーをそのまま歌にした」という誤解です。前述の通り、阿久悠が借用したのは映画のタイトルと刹那的な空気感であり、映画の主人公ミシェルとパトリシアの具体的な愛憎劇や結末をトレースしたものではありません。歌謡曲としての起承転結と心理ドラマは、阿久悠の完全なオリジナル創作です。
第二に、「帽子投げはすべて計算された振り付け師の指示だった」という説です。実際の立ち位置や大まかな動線はプロの手によるものですが、サスペンダーを指で弾くタイミングや、ハットを飛ばすアングル・脱力感は、沢田研二という表現者の天性のセンスに委ねられていました。