1987年に巨匠・市川崑監督が手がけた大作映画『竹取物語』は、沢口靖子の美しさが頂点に達した傑作として語り継がれている。かぐや姫という浮世離れした存在を演じるにあたり、市川監督は彼女の持つ神秘性を徹底的に引き出した。
特撮技術と古典文芸が見事に融合した本作で、彼女が魅せた衣装の着こなしや、月へと帰るクライマックスでの神々しい立ち姿は、まさに映画史に燦然と輝くアートそのものだ。身体の線を綺麗に見せる着物の仕立てや、肌の質感を生かしたライティングなど、極限まで計算し尽くされた映像美は、後年の「体当たり演技」の噂の源流とも言える静謐な官能美を醸し出していた。