同学年の中で月齢が低い子どもが不利を被る現象は、学術的に「相対年齢効果(Relative Age Effect)」と呼ばれます。特に小学校入学時点の6歳児において、4月生まれと翌年3月生まれでは生きてきた期間に約17%もの開きがあり、体力、語彙力、注意力、感情のコントロール力に大きな個体差が生じるのは自然な発達段階の違いです。
問題は、学校教育の現場で月齢の差が適切に補正されず、一律の基準で評価されてしまう点にあります。相対的に幼い早生まれの子どもは、以下のような負のサイクルに陥りやすい傾向が指摘されています。
・教員からの相対評価:授業の理解度やテストの点数で遅生まれの児童が見立ちやすく、高評価を受けやすい。
・「自分は勉強が苦手」という自己認識:周囲と比較してできない経験が先行し、学問に対する自信(自己効力感)を早期に喪失する。
・学習意欲の減退:褒められる機会の少なさが、学力向上のための自発的な学習時間を奪う結果となる。
経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査(PISA)のデータを分析した研究でも、日本を含む多くの国で早生まれの生徒の数学・読解力スコアが有意に低いことが確認されており、幼少期の評価の差が中長期的な学力格差へと直結していることが分かります。