渋谷駅の目と鼻の先に位置するこのエリアは、常に都市改修のフロントラインにさらされてきた。東急株式会社をはじめとする複数の事業体が主導する「渋谷駅街区再開発プロジェクト」により、駅周辺は未来都市さながらの変貌を遂げつつある。ガラス張りの巨大ビルが空へと伸びる中、木造建築がひしめく一角だけが、まるで時が止まったかのような静けさと熱気を同時に保ち続けている。
この対比こそが、現在の渋谷が抱える美徳であり課題でもある。老朽化への耐震対策や防災面の懸念が叫ばれる一方で、文化遺産とも言える街並みを安易に解体すべきではないという声は根強い。開発のダイナミズムと路地裏カルチャーの保全。その緊張感あふれる天秤のうえで、昭和レトロ居酒屋の店主たちは今日も暖簾を掲げている。