現在、名機とされるオートリバースデッキの中古市場価格は急上昇を続けている。数年前まで数万円程度で取引されていたフラッグシップモデルが、現在では状態によって数十万円、オーバーホール済みであれば当時の定価を大きく上回る高値で取引されるケースも珍しくない。世界的な需要に対して、稼働状態にある個体が圧倒的に不足しているためだ。
市場の裏側で深刻化しているのが、専門の修理技術者の高齢化とパーツの枯渇である。ベルトの劣化やゴムローラーの硬化、緻密なギアの破損など、半世紀近い年月を経た精密機械のフルレストアには卓越した職人技が欠かせない。現在では、元メーカーの技術者が立ち上げた個人工房や、海外から特注パーツを輸入して復刻を手掛ける専門ショップが市場を支えており、整備済みの個体はオークション市場に出る前に愛好家間で売買が成立することも少なくない。