グランドキングに輝いたバンドだけでなく、キングの座を勝ち取れずとも強烈なインパクトを残した逸材がゴロゴロ存在していた点もイカ天の恐ろしさだ。その筆頭が「人間椅子」である。津軽弁を交えた怪奇小説的な詞世界と、ブラック・サバス直系の重厚なハードロックサウンドは、当時の視聴者に凄まじい衝撃を与えた。
彼らはメジャーデビュー後もブレることなく独自のヘヴィメタル路線を貫き、結成35年を超えた近年、YouTubeをきっかけに欧米のメタルファンの間で爆発的なブームを巻き起こした。海外フェスへの出演やワールドツアーの成功は、イカ天出身バンドの地力の強さを証明する快挙と言える。
また、記念すべき初代グランドキング「FLYING KIDS」は、本格的なファンク・ソウルミュージックを日本語のロックとして昇華させた先駆者だった。「幸せであるように」などの名曲は、シティポップやファンク再評価の文脈で現在も若者世代に聴き継がれている。当時のスタジオ裏では、アマチュア同士の殺気立ったライバル意識と同時に、異ジャンルの才能を認め合う深いリスペクトが生まれていたという秘話も残されている。