日本の特撮怪獣映画史において、1984年公開の映画『ゴジラ (1984年の映画)』は極めて異質な光を放つ。製作を指揮した伝説的プロデューサーの田中友幸氏は、アバンギャルドでコミカルになりつつあった怪獣路線を排し、第1作目が持っていた「核の恐怖」と「絶対的絶望」への原点回帰を強く打ち出した。
このシリアスな世界観をスクリーン上に具現化したのが、東宝の造形部門を長年支えた安丸信行氏である。安丸氏がデザイン・造形した84ゴジラは、鋭い眼光と直立した重厚なシルエット、どこか凶暴さを秘めた顔つきが特徴だ。この独特なスーツ造形がソフトビニールフィギュアというキャンバスに落とし込まれた時、他の年代のゴジラにはない特有の陰影と圧倒的な存在感が生まれたのである。