しのぶというキャラクターの魅力は、一言では言い表せない複雑さにある。強さと脆さが同居しており、物語が進むにつれてその両面が交互に顔を出す。最初は冷静沈着で何事にも動じないように見えるが、読み進めるうちに彼女(あるいは彼)の内側に抱えた傷の深さが見えてくる。
多くの作品で主人公は希望の象徴として描かれることが多い。だが、破滅のしのぶにおける主人公像はその常道を外れている。しのぶは必ずしも「救う者」ではなく、時に「壊す者」として機能することがある。この設定が、読者に一種の緊張感と没入感をもたらしている最大の理由だろう。