乗り物では何日もかかる月ですが、「光」のスピード(秒速約30万km)を使うと世界が一変します。地球から放たれた光や電波が月に届くまでの時間はわずか約1.28秒(平均距離の場合)。往復しても2.5秒強しかかかりません。アポロの宇宙飛行士と地上の管制室が交信した際、会話に独特のタイムラグがあったのはこの光速の遅延が原因です。
この光の速さを利用して、現代の天文学では月との距離をミリ単位の超高精度で測定しています。それを可能にしているのが月レーザー測距(LLR)という技術です。
1960年代から70年代にかけて実施された米国の「アポロ計画(11号、14号、15号)」や旧ソ連の無人探査機「ルノホート」によって、月面には「コーナーキューブ反射板」と呼ばれる特殊な鏡が設置されました。地球の天文台から月面の反射板に向けて強力なレーザーパルスを照射し、反射して地球に戻ってくるまでの往復時間を精密に計測することで、月と地球の正確な距離を割り出しています。