『集合体』が単なるモンスター映画にとどまらない最大の理由は、緻密に計算されたサイコロジカルスリラーとしての脚本構造にある。日本のホラー漫画界の至宝、伊藤潤二の作品世界に通じる圧倒的な静けさと、日常がじわじわと不条理に変貌していく生理的恐怖。監督はインタビューで、伊藤潤二が描く「うずまき」や「密生する狂気」から深いインスピレーションを受けたことを認めている。
登場人物たちが抱える孤立感、精神の崩壊、そして次第に侵されていく肉体。視覚的なグロテスクさの裏には、現代社会における個の喪失という重厚なテーマが隠されている。恐怖は外側からやってくるのではなく、自分自身の内面から湧き上がってくるのだ。