朝日山親方の現役時代を語る上で欠かせないのが、スピード感あふれる取り口です。1980年代後半から1990年代にかけて、名門・佐渡ヶ嶽部屋の主力として活躍した元琴錦の経歴は、まさに記録と記憶に残る名力士そのものでした。
立ち合いからの猛烈なハズ押しと右四つからの速攻は「F1相撲」と称され、大型力士や横綱・大関陣を幾度となく打ち破りました。その代名詞となったのが、史上唯一となる「平幕で2度の幕内最高優勝」(1991年9月場所・1998年11月場所)という前人未到の偉業です。三賞受賞は歴代3位タイとなる通算18回を数え、ファンからは「史上最強の関脇」と称えられました。
怪我との闘いも多く、大関昇進の好機を幾度か逃しながらも、土俵に上がれば常に観客を沸かせるスピード相撲を貫き通した生き様は、現在の指導哲学の確固たる礎となっています。