三遊亭歌武蔵の高座に足を踏み入れた者がまず圧倒されるのは、その体躯と声量だ。マイクを必要としないほどの朗々とした声が寄席の隅々にまで響き渡る。だが、真の魅力はその豪快さの裏に潜む、繊細な間(ま)と計算し尽くされた構成力にある。
まくら(本題前のフリートーク)で披露される相撲界の裏話や日常の観察眼は、爆笑の連続だ。古典落語の演目に入ると、登場人物たちがまるで目に見えるかのように活き活きと動き出す。武骨な外見とは裏腹に、人間の愛おしさや愚かしさを愛を込めて描き出す手腕は、まさに熟練の職人技と言える。