宇治茶の歴史を語るうえで、初代・辻利右衛門の存在を避けて通ることはできない。幕末から明治にかけての混迷期、茶園の衰退という危機に直面した彼は、茶葉の保存性を飛躍的に高める「玉露用茶缶(缶詰)」を考案。さらに茶園の栽培方法の改良を重ね、宇治茶のブランドを全国区へと押し上げた歴史的功績を持つ。
その開拓者精神は、現代の職人たちにも色濃く宿る。機械化が進む令和の今も、茶葉の選別や火入れの微調整には長年の勘と鋭敏な感覚が欠かせない。気候や湿度を見極め、茶葉本来の旨味と香りを最大限に引き出す職人技が、重厚な味わいを生み出している。