この楽曲の原点を探るには、1989年に放送された歴史的大作に時間を巻き戻さなければならない。当時、開局30周年記念特別番組として制作されたフジテレビのテレビドラマ『さよなら李香蘭』。激動の昭和史と満州国の光影を描き出したこの作品の主題歌として生み出されたのが、楽曲『行かないで』だった。
ロックバンド安全地帯のフロントマンとして圧倒的な存在感を放っていた玉置浩二は、ソロアーティストとしてもその類まれなソングライティング能力を極限まで研ぎ澄ませていた。激しい歴史の濁流に翻弄されたヒロインの悲哀と希望。その重厚なテーマを受け止め、単なるTVドラマの枠を超えた普遍的な抒情詩へと昇華させた手腕は、まさに圧倒的と言うほかない。