「育児休業給付金が非課税なら、年末調整は関係ないはず」という解釈は、制度の表面だけを捉えた典型的な思い込みです。年末調整とは、その年の1月1日から12月31日までに勤務先から支払われた給与・賞与の総額に基づいて所得税を再計算し、毎月の給料から天引き(源泉徴収)された税額との過不足を精算する手続きを指します。
仮に年度の途中、たとえば5月に産休・育休へ入った場合、1月から4月までの給与や春の賞与から、フルタイム勤務を前提とした高い税率で源泉徴収されています。その後、休業に入って給与支払いがストップすれば、年間の正規給与総額は当初の想定を大きく下回ります。その結果、天引きされていた源泉徴収税額の大部分が払い過ぎの状態となり、年末調整の手続きを経て初めて「育休中の還付金」として指定口座へ振り込まれます。もし書類を提出しなければ、この過納金は自動的には返還されず、翌年以降に自ら確定申告を行わない限り、国庫に眠ったままとなってしまいます。
国税庁の「民間給与実態統計調査」などを基に試算すると、年収400万円前後の会社員が年の半ばで休業に入った場合、年末調整によって生じる還付金は5万円から15万円程度に達することも珍しくありません。書類を1枚提出しなかった代償としてこの金額をみすみす逃すことは、出費が重なる育児世帯にとって手痛い損失と言わざるを得ません。