御徒町駅から南側へ足を進めると、世界でも類を見ない特異な専門街が広がる。国内外の宝石商やクラフトマンが行き交う、貴金属・宝飾品卸売業の一大集積地だ。
この地にジュエリー産業が集積したきっかけは、明治維新以降の廃刀令にある。刀の装具を作っていた錺職人たちが、その精密な金属加工技術を指輪やネックレスなどの装身具制作へと転換したのだ。さらに昭和の高度経済成長期を経て、卸売業者が集中する全国唯一のジュエリーマーケットへと発展した。
現在ではプロ向けの問屋だけでなく、オーダーメイドリングやリフォームを求める一般客、外国人バイヤーも多く訪れる。伝統の金属加工技術と最先端のCADデザインが共存する工房が路地裏に点在し、職人の意地と情熱が静かに火花を散らしている。