同じ「羽生」と書きながら、「はにゅう」と読む家系と「はぶ」と読む家系が存在するのは、単なる訛りではなく発祥となった地形や地域性の違いに起因しています。
東日本に多い「はにゅう」の読みは、前述の通り関東ローム層の赤土台地や粘土質の土地に由来する「埴生」がルーツです。関東平野から東北地方にかけて広く分布し、土壌の特徴がそのまま地名や苗字として定着しました。
対照的に、西日本や九州地方にルーツを持つ家系に多いのが「はぶ」という読み方です。こちらの語源には諸説ありますが、主に以下の2つの地形的要因が挙げられます。
一つは、断崖や段丘の縁を意味する古語「端(はば・はふ)」が転訛して「はぶ」となった説です。川沿いの切り立った崖地や台地の端に集落を開いた人々が、その地形を指して「ハブ」と呼び、後に「羽生」の文字を当てました。もう一つは、蛇の「蝮(ハブ)」のように曲がりくねった地形や川の蛇行部を示す地形語に由来する説です。同じ漢字でありながら、東日本では「土壌の性質」、西日本では「土地の形状」から生まれたという明確な違いが存在します。