諭鶴羽ダムが全国的な知名度を獲得した最大の転換点は、フィギュアスケーター・羽生結弦氏の熱心なファンによる「聖地巡礼」のムーブメントでした。ダムの背後にそびえる諭鶴羽山の山頂付近には、平安時代開祖の古社「諭鶴羽神社(ゆづるはじんじゃ)」が鎮座しています。
ファンの間でこの地が特別な意味を持つようになったきっかけは、神社の名称である「ゆづるは」と羽生結弦氏の「結弦(ゆづる)」という極めて珍しい名前の完全な一致でした。2014年のソチ五輪、そして連覇を果たした2018年の平昌五輪の前後から、ファンの間で「勝利と健康を祈願する神社」として口コミが急拡大。羽生氏本人が公の場でこの神社の存在に言及し、実際に参拝・祈祷を捧げたことが報じられると、その熱気は決定的なものとなりました。
諭鶴羽神社へ至る主要な参道(表参道・裏参道)の起点・玄関口に位置するのが諭鶴羽ダムです。ダム湖畔の駐車場に車を停め、そこから約2時間かけて山頂の神社を目指すトレッキングルートがファンの定番巡礼コースとなりました。ダム周辺にはファン有志によって植樹された記念樹や、祈りを込めたメッセージが静かに息づいており、今や単なる観光地を超えた「祈りと感謝の空間」として地域に深く根付いています。