八ツ鹿踊りを深く味わう上で欠かせないのが、踊り子たちが歌い上げる素朴で情感豊かな「鹿踊り歌」の歌詞です。
舞の途中で歌われる代表的な節には、宇和島の風土と歴史を讃えるフレーズが織り込まれています。
「宇和島三万石 殿様の前で 鹿を踊るも 恐れある」
「秋の野に 笹わけ小鹿 笛の音に 立ち寄る鹿の 哀れなるかな」
少年たちの澄み切った高音の歌声が、静まり返った境内に響き渡る瞬間、観客は息を呑みます。激しい動きで魅せる現代のエンターテインメントとは対照的に、「引き算の美学」とも呼ぶべき静寂と緊張感が、この伝統芸能の真骨頂です。