こうした風化の危機に立ち向かうべく、近年急速に進んでいるのがテクノロジーを活用した保存法だ。自治体や有志の技術者グループが主導し、御巣鷹の尾根全体を高精度な3Dレーザースキャンで点群データ化。墜落現場の地形や散在する墓標、当時の痕跡をデジタル空間に永久保存するプロジェクトが本格稼働している。
VR(仮想現実)ヘッドセットを装着すれば、現地に行けない高齢の遺族や、事故を知らない若い世代であっても、まるで尾根の風と静寂のなかに身を置いているかのような感覚で慰霊や学びを行える。単なる記録写真の閲覧にとどまらず、空間ごと記憶を共有する試みは、次世代へ教訓を届ける新たな架け橋として注目を集めている。