ボイスレコーダー(CVR)の再解析プロジェクトによって、コックピット内の壮絶なやり取りが次々と明瞭化している。機長を務めていた高浜雅己氏が、操縦不能となった巨大な機体を必死に制御しようと試み、最期まで諦めずに舵を取り続けた指示音声の全貌が見えてきた。従来は背景ノイズにかき消されていた「油圧が落ちている」「油圧全滅」という発言の前後で、クルーたちがどのような判断を下していたのかが秒単位で立証されている。
機内の緊迫感は想像を絶するものだった。全油圧破綻という絶望的な状況下で、エンジンパワーの差異調整のみによって機首をコントロールしようと闘い続けた操縦士たちの試み。その音響データからは、最悪の事態を防ごうとしたプロフェッショナルとしての壮絶な執念と、客室乗務員たちが乗客に酸素マスクの装着を必死に案内する緊迫した声が交互に重なり合う。