タレントとしての地位に甘んじることなく、彼が次に挑んだのが音楽の世界だった。全員が男の娘という異色のコンセプトを掲げ結成されたヴィジュアル系ロックバンド『美女♂men Z』。一見すると奇抜なギミックに思われがちだが、その本質は愚直なまでのライブバンドだった。
ワゴン車に機材を詰め込み、メンバー自らハンドルを握って全国のライブハウスを行脚する日々。華やかなメジャーの舞台を経験した男が、汗まみれになってインディーズのステージに立ち続けた。そこには、どんなに小さな会場であっても目の前のファンに直接熱を届けたいという、表現者・斎藤恭央の揺るぎない覚悟が宿っていた。