実際の夜に撮影(ナイトロケーション)を行えば済む話のように思えますが、商業映像の現場が昼夜逆転の手法を選択するには、極めて現実的かつ合理的な理由が存在します。
最大の要因は制作予算と照明機材の規模です。広大な荒野や巨大な建造物全体を夜間に照らし出すには、超大型クレーンと膨大な数の高出力HMI照明、それを稼働させる大容量発電機車が必要となり、照明費用だけで数千万円単位の予算が吹き飛びます。一方、太陽光そのものを主光源(キーライト)として利用できれば、機材費とセッティング時間を劇的に圧縮できます。
さらに労働法規制と安全性の問題も無視できません。世界各国の撮影現場では、未成年の子役が出演できる時間帯が厳格に定められており、深夜帯の撮影は法律で禁止されているケースが大半です。また、危険を伴うスタントやカーチェイス、山岳地帯でのロケは、視界が確保できる日中に撮影した方が事故リスクを大幅に回避できます。限られたスケジュールと安全管理の観点から、デイフォーナイトは現場を守るための現実的選択肢となっています。