物語論の視点から見ても、実弥と義勇のキャラクター造形は完璧な対比構造を成している。猛烈な嵐のように感情を剥き出しにして突き進む実弥と、静かな水面のように感情を押し殺して孤独を抱える義勇。
水と油に例えられた二人の相容れなさは、双方の過去に抱える深いトラウマと遺失体験に起因している。大切な者を失った痛みを知る者同士でありながら、その痛みの処理方法が真逆であったことが、長らく二人の間に壁を作っていた。
だからこそ、彼らが互いの存在を認め、共に戦う姿には重みがある。お互いの傷を舐め合うのではなく、背中を合わせて刃を振るう姿勢。甘えのない徹底したプロフェッショナリズムと秘められた優しさの同居が、大人の鑑賞者の心をも深く揺さぶる。