この歴史的建築の更新において、中心的な役割を果たしたのが世界的な建築家である隈研吾氏だ。伝統的な和風建築の美意識を現代の幾何学と融合させる手腕は、歌舞伎座再開発プロジェクトにおいて余すところなく発揮された。
旧劇場の面影や歴史的価値を持つ部材を精巧に再利用しつつ、現代の耐久性と機能性を付与する作業は困難を極めた。瓦の一枚、木目の見せ方ひとつに至るまで計算し尽くされたデザインは、威風堂々とした風格を保ちながらも、圧迫感を与えない洗練さを漂わせている。過去の遺産を保存するだけでなく、未来へとつなぐ架け橋を築き上げた彼の美学は、建築ファンにとっても見逃せない大きな見どころと言える。