患者が陰圧室への入院を指示される背景には、医学的な「感染経路の性質」が深く関係しています。病原体の広がり方には接触感染・飛沫感染・空気感染(飛沫核感染)などがありますが、陰圧室が必須となるのは主に空気感染を起こす疾患や、高濃度エアロゾルが発生する医療処置を行う場面です。
具体的に陰圧隔離が適用される主な疾患と理由は以下の通りです。
- 活動性肺結核・喉頭結核:結核菌は水分が蒸発した「飛沫核(5μm以下)」となって空気中を長時間浮遊し、通常の換気では同室者や廊下を歩く人へ感染を広げるため、厳格な陰圧室管理が行われます。
- 麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう):極めて感染力が強いウイルスであり、すれ違っただけでも感染が成立する可能性があるため、発症初期の陰圧管理が原則です。
- 新興感染症(SARS、MERS、危険度の高いインフルエンザなど):病態や感染経路が完全には解明されていない段階での封じ込め目的。
- 新型コロナウイルス感染症(重症例・気管挿管時):一般的な療養では個室管理で対応可能なケースも増えましたが、人工呼吸器の装着や吸引処置など、多量のエアロゾルが発生する医療行為時には陰圧室が選定されます。