1975年の結婚以来、芸能界屈指の「おしどり夫婦」として知られる音無美紀子と村井國夫ですが、その道のりは決して平坦な美談ばかりではありませんでした。お互いに強い個性とプライドを持つ舞台俳優同士として、若き日には激しい意見の対立やすれ違いを経験したこともインタビューなどで率直に明かされています。
しかし、二人の関係性を決定的に深めたのは、互いの危機において役割を交代しながら支え合った「相互ケアの循環」でした。
音無美紀子の闘病期には村井國夫が精神的・家庭的な大黒柱として妻を守り抜きましたが、年月を経て今度は夫に命の危機が訪れます。2019年には村井國夫が心筋梗塞で緊急搬送され、さらに2026年には新型コロナウイルスに感染して一時は集中治療室(ICU)に入るほどの重症に陥りました。このとき、動揺を抑えて現場の医療スタッフと連携し、不屈の覚悟で夫の命を支え続けたのが音無美紀子でした。
家族構成に目を向けると、長女の村井麻友美は女優として舞台を中心に確かな実績を積み重ねており、長男の村井健太郎は舞台音響や制作など裏方のプロフェッショナルとして演劇界を支えています。両親と同じ表現の世界を選びながらも、過度な親の七光りに頼らず自立した道を歩む子どもたちの姿は、家庭内における健全な距離感と教育の賜物といえます。