宿の心臓部ともいえるのが、地下深くから湧き出る益子温泉だ。無色透明で肌触りの柔らかい湯は、アルカリ性単純温泉ならではのなめらかさを誇る。大浴場から露天風呂へと足を進めると、目の前に広がるのは原生林の息吹。湯煙の向こうで揺れる木々の葉音と鳥のさえずりだけが耳に届く贅沢な環境だ。湯上がりには肌が吸い付くようにしっとりと整い、美肌の湯と呼ばれる理由がすぐに腑に落ちる。
そして、旅のハイライトを飾るのが夕食の「里山会席」である。厨房を率いる料理人が丹精込めて仕立てる皿には、地元農家から毎朝届く朝採れ野菜や滋味豊かな栃木県産和牛、清流が育んだ川魚が惜しみなく使われている。単に豪華な食材を並べるのではなく、その季節にしか出合えない大地の恵みを引き出す調理法が見事だ。器として使われる益子焼の素朴で温かみのある手触りが、料理の彩りを一層引き立てている。
現在用意されている限定宿泊プランでは、料理長特製の季節の一品や地酒のテイスティングセットが付くなど、細やかな特典が用意されている。事前リサーチなしで訪れると見落としがちな特別料理のグレードアップオプションは、滞在の満足度を何倍にも引き上げてくれるポイントだ。