「意志」と「意思」に加えて、もうひとつ混同されやすい同音異義語が「遺志(いし)」です。ここを誤ると、ビジネスや公の場において大きなマナー違反となりかねません。
「遺志」の「遺」は「遺言」や「遺産」と同じく、「残す」「後に遺す」という意味を持ちます。したがって、すでに亡くなった人物が生前に抱いていた目的や果たせなかった志向を指す言葉です。「故人の遺志を尊重し、寄付を行う」「創業者の遺志を継ぐ」といった形で用いられます。存命中の人物に対して「〇〇様の遺志」と表現することは致命的な非礼に当たるため、絶対に避けなければなりません。
また、グローバルビジネスにおける「英語表現の違い」を理解しておくことも、両者の概念をクリアに区別する助けとなります。
- 意志の英訳:「will」(強い力、意志力)、「volition」(意欲、決断力)、「determination」(不退転の決意)
- 意思の英訳:「intention」(意図、意向)、「intent」(故意、目的)、「mind」(考え、所存)
英語圏でも「Free will(自由意志=自らの内面的な力)」と「Letter of Intent(意向表明書=LOI、取引の意思を示す客観的文書)」が明確に使い分けられていることからも、概念の相違が普遍的なものであると分かります。類語と言い換えを検討する際も、情熱を表すなら「志」「気概」「熱意」、考えを伝えるなら「意向」「方針」「所存」と置き換えることで、文脈に最適な表現を選び取ることができます。