『PERFECT DAYS』で世界的評価を確固たるものにした役所広司だが、本作での挑戦はさらに尖鋭的だ。是枝裕和監督が得意とするドキュメンタリーの手法を全面的に取り入れ、あえて固定台本を最小限に抑えたエチュード(即興演劇)に近い撮影スタイルを多用している。
カメラは被写体に肉迫し、役者の息遣いや肌の汗、揺れる視線までをも克明に捉え続ける。重厚なヒューマンドラマとしてのドラマツルギーを保ちつつ、あたかも現実の事件を密着ドキュメンタリーとして追体験しているかのような圧倒的没入感を生み出すことに成功した。手持ちカメラによる長回しの映像美は、観客の感情をダイレクトに揺さぶる。