実務や日常生活において最も関心が高いのは、「いつ、どの瞬間に契約が成立し、後戻りできなくなるのか」という効力発生の時期です。基本となるのは契約成立 意思の合致という原則であり、一方の「申込み」に対して相手方が「承諾」の意思表示を行い、双方が合致した瞬間に契約が結ばれます。
では、その意思表示自体はどのタイミングで有効になるのでしょうか。意思表示の効力発生時期について、民法第97条1項は「相手方に到達した時からその効力を生ずる」と明記しており、これを「到達主義」と呼びます。相手が書面を読んだ瞬間ではなく、相手の支配圏内に入り、客観的に知り得る状態になった時点(ポストへの投函、メールサーバーへの受信など)を指します。
実務上の大きな転換点となったのが、民法改正 意思表示 要点として挙げられる「契約の成立時期における発信主義の廃止」です。旧民法では、遠隔地間の契約において「承諾の通知を発信した時」に契約が成立するという発信主義(旧526条1項)が採用されていました。手紙が届く前に投函した時点で成立するというルールでしたが、これが2026年4月の改正によって完全に削除されました。現在では原則通り、承諾の通知が相手方に届いた時点で契約が成立します。
この変更に伴い、到達主義 発信主義 違いの実務的な影響が顕著に出るのが意思表示 撤回の可否です。到達主義のもとでは、意思表示が相手に到達する前であれば、原則として撤回が間に合います。しかし、一度でも相手のメールボックスに届いてしまえば、もはや一方的な撤回は認められず、合意解除や法的な取消要件を満たす必要があります。