近年、大相撲を取り巻くメディア環境は劇的な進化を遂げた。伝統的なNHK大相撲中継に加え、スマートフォンで手軽に追えるNHKプラスの見逃し配信、そして独自の演出や多角的なカメラワークで若年層の心を掴むABEMAの生中継が定着。国技館へ足を運ぶファンだけでなく、世界中の視聴者がリアルタイムで取組の細部に熱狂している。
さらに、Netflixで世界的ヒットを記録したドラマ『サンクチュアリ -聖域-』や各種スポーツドキュメンタリーの影響により、力士たちのバックボーンや稽古場のリアルに対する世間の関心はかつてないほど高まった。画面越しに力士の生き様が透けて見える現代だからこそ、伊勢ノ海部屋のように真摯に土俵と向き合う部屋の姿勢が、ファンに鮮烈な説得力を持って響く。
「カメラの向こうに無数の目がある。どこを切り取られても恥ずかしくない稽古をしなければならない」。親方が弟子たちに説くプロフェッショナルとしての自覚は、配信時代の波に乗って確実に実を結びつつある。土俵上の真剣勝負が持つ圧倒的なリアリティこそが、最大のコンテンツなのだ。