かつて漫画家・つげ義春が旅し、数々の名作の着想を得た房総の地。彼の孤独でノスタルジックな世界観を現代のスクリーンへと蘇らせたのが映画『リアリズムの宿』だ。作中に登場するような少し寂れた路地裏や、潮風で錆びた看板、静かに佇む老舗の食堂など、大原の街角にはどこか懐かしく物憂げな詩情が漂っている。
大手観光地のような派手さはないものの、こうした裏名所をのんびりと歩く時間こそが贅沢だ。路地を一つ曲がるたびに新たな発見があり、地域の観光業としてもこうした歴史や文化的背景を活かした取り組みが広がりを見せている。