「ハナミズキ」の誕生背景には、今や伝説となったエピソードが存在する。2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ事件が起きた際、ニューヨークにいた一青窈の友人を案じる強い衝撃と憤りから、一気に言葉が紡ぎ出された。
当初の歌詞は、もっと激しい怒りと混乱に満ちていたという。それを包み込み、研ぎ澄まされたポップスへと昇華させたのが小林武史のプロデュース手腕だった。個人的な感情の吐露を抑え込み、誰もが口ずさめる「君と好きな人が百年続きますように」という普遍的な願いへと昇華させる。怒りを祈りに変換するこの視点の転換こそが、一過性のヒットソングを超えた「時代を超えるアンセム」を生み出した最大の鍵だった。