国民的名作アニメ『母を訪ねて三千里』。このタイトルに登場する「三千里」という言葉を聞いて、どれほどの距離を想像するだろうか。
仮に日本の明治尺貫法である「1里=約3.93km」をそのまま掛け合わせると、3000里はなんと約1万1790キロメートルにも達する。地球一周が約4万キロであることを考えると、日本から南米アルゼンチンまでほぼ地球の3分の1を縦断するほどの凄まじい距離だ。
実のところ、原作者エドモンド・デ・アミーチスのイタリア小説『クオレ』の中の短編を日本語に翻案・翻訳した際、中国古来の距離単位である「里」の概念が採用された経緯がある。中国の古代や旧単位における一里は、約400〜500メートル程度。中国の旧単位で換算すれば、三千里は約1200〜1500キロメートルとなり、劇中でマルコ少年が旅したブエノスアイレスからトゥクマンまでの実際の移動距離に極めて近くなる。
単位の解釈ひとつで、少年の旅路が地球規模の超ロングトレイルにも、南米大陸内の現実的な大移動にも変化する。単位に潜む歴史のトラップがここにある。