このセリフの持つ破壊力を理解するためには、当時の旧日本陸軍における組織構造と階層意識を知る必要があります。「一般将校」という言葉は、軍事用語として正式に定義された階級ではなく、省部(陸軍省・参謀本部)のエリートやクーデター首謀者側が、現場の実戦部隊将校を見下ろして呼んだ相対的な呼び名です。
陸軍幼年学校から陸軍士官学校、さらに超難関の陸軍大学校を卒業したエリートたちは、若くして軍政・軍令の中枢に配置され、絶大な影響力を行使していました。一方で、部隊に配属されて兵を直接率いる一般の将校たちは、政治工作の全体像を知らされることはありません。
「自分たち選ばれし者だけが国を憂い、重大な決断を下している」というクーデター派の強烈なエリート意識が、現場の将校たちを「一般将校」と一括りにして切り捨てる発言につながったのです。